最強の交渉ツール『BATNA』-その1-

最強の交渉ツール BATNA その1

前回まで、原則立脚型交渉が立脚する4つの原則を紹介しました。

4つの原則

基本的には、この原則に則って、交渉を行うと交渉はうまくいきます。

ただ、もう一つだけ、交渉を行う際に重要な概念がありますので、今回は、それを紹介させていただきます。

それは・・・

BATNA(バトナ)

です。

BATNA(バトナ)とは

Best Alternative To Negotiated Agreement」の頭文字を取ったものです。

日本語でいうと、「今の交渉が決裂した場合の最善の代替案」です。

このBATNAを意識するか否かで交渉の行方は大きく左右されます

具体的に見ていきましょう。

事例

皆さんはプロ野球選手だと思って球団と年俸交渉をすると想定してみましょう。

事例

今シーズンの年俸は、昨シーズンの大活躍により大幅アップし、3億円で契約しました。

しかし、今シーズンは、ケガの影響により出場試合数は、前年の半分にも満たず、規定打席にも到達しませんでした。

レギュラーは若手選手に奪われてしまいました。

球団から「来週、球団事務所に来てくれ。」と連絡があり、年俸交渉が行われることになりました。

大幅な年俸減が見込まれるこの状況で、あなたが選手の立場の場合、どのような準備をして球団との年俸交渉に臨むでしょうか?

さて、どうでしょうか?

  • 細かい成績データを準備する。
  • グッズの売上データを準備する。
  • 自身の出場試合の観客動員数のデータを準備する。
  • ケガの現状と回復見込みに関する資料を準備する。

など、可能な限り交渉を有利に進めるための資料の準備はしますよね?

ただ、それで十分でしょうか?

この事例における一番の注意点

この交渉での一番の注意点はどこでしょうか?

それは、「交渉決裂を必要以上に恐れること」です。

もし、この交渉で、あなたが「球団と揉めたら、放出されるかも・・・」と思い、交渉決裂を必要以上に恐れてしまうと、球団から提示された条件を飲むしかない状況になります。

こうなると、交渉はうまく行きません。

では、このような事態にどう対応すべきでしょうか?

それについては、また次回。

ぜひ、BATNAの真の力を知ってください。

弁護士山口真彦
山口真彦
弁護士

ウィンベル法律事務所/ウィンベル合同会社代表。

大学卒業後、中小企業で営業マンとして勤務したのち弁護士へ。

弁護士登録後は、自身が中小企業で勤務していた経験をもとに、企業に関わるすべての人を幸せにするために弁護士にできることをテーマに日々活動している。

交渉学に基づいた交渉術を駆使し、早期円満解決がモットー。

PROFILE