サブリース契約は解約できるのか?

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  • [DATE] 2021.05.03
  • [UPDATE] 2022.07.16
サブリース契約は解約できるのか?

はじめに

不動産業者の方であれば、一度はオーナー様から次のような相談を受けた経験があるのではないでしょうか?

「サブリース契約を解約したい。」

そもそも、サブリース契約とはどのような契約なのか。

そして、解約することはできるのか。

この記事では、これら点について詳しく解説したいと思います。

サブリース契約とは

サブリース契約とは、一般に、業者がオーナーから不動産を借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。

厳密には、オーナーと業者が締結する賃貸借契約をマスターリース契約といい、業者と入居者が締結する転貸借契約をサブリース契約と言います。

なぜ、オーナーは直接入居者に貸さずに、業者を間に挟むの?という質問がよくありますので、その点について説明しておきます。

不動産を賃貸した場合、家賃の徴収、物件の管理や入居者の退去後の対応などオーナーはやることがたくさんあります。

さらに、入居者が家賃を滞納すれば、オーナーの家賃収入は途絶えてしまいます。

これらの負担やリスクは、入居者が多ければ多いほど増します。

そこで、サブリース業者が登場するわけです。サブリース業者は、オーナーとマスターリース契約とともに管理受託契約も一緒に締結します。

また、マスターリース契約の中で家賃保証もします。

つまり、オーナーからすると、不動産の管理は業者が行い、入居者の家賃滞納や空室による家賃収入の減少のリスクも負わなくていいわけです。

オーナーからすると大きなメリットがあることからサブリース業者を挟むのです。

サブリース契約の問題点

こんなメリットがあるならむしろサブリース契約を推奨すべきではないか、という声が聞こえて来そうですが、実は、そう簡単な話ではありません。

このような判例があるのです。

最高裁判所平成15年10月21日判決

概要

サブリース業者がオーナーに対して賃料減額請求(借地借家法32条1項)を行い、それを不服に思ったオーナーが争った事件

最高裁判所の判断

サブリース契約は借地借家法が適用される賃貸借契約である。

この判例からわかる通り、サブリース契約にも借地借家法の適用があります。

では、サブリース契約に借地借家法が適用された場合、オーナーにとってはどのような不都合があるのでしょうか?

①期間満了後の契約更新

期間満了に伴う契約の更新拒絶をするためには、正当事由が必要になります(借地借家法28条)。

つまり、サブリース業者が契約を更新しないことに合意しない場合は、オーナーは正当事由がなければ更新拒絶はできません。

②中途解約の可否

中途解約条項がない限りは契約期間内の解約はできません。しかも、仮に中途解約条項があってもオーナー側からの解除には正当事由が必要になります。

このように、一旦サブリース契約をした場合、オーナーはサブリース業者との契約を解消することが困難になります。

サブリース契約を解約するには

以上のとおり、オーナー側からサブリース契約を解約することはかなり困難を極めます。

しかし、サブリース業者との交渉次第では、サブリース契約を解約できる場合もあります。

その際のポイントは、以下のとおりです。

(1)とにもかくにも契約書の確認から
  1. サブリース契約書の確認
    中途解約条項の有無やサブリース業者の契約違反の有無をチェック
  2. 管理受託契約書の確認
    サブリース業者との管理受託契約の内容もチェック
(2)サブリース契約解消後の希望

物件の売却?サブリース業者なしで賃貸経営?など

(3)建物の現状の把握
(4)金銭解決の場合に備えて準備できる金銭

サブリース契約解消後に賃貸経営を継続される場合は、トータルリターンを検討した上で考える。

以上の点を事前に確認した上で、サブリース業者と解約に向けて協議を行います。

  

最後に

オーナーの方々は、サブリース契約締結時、/b上記のようなサブリース契約の問題点を知らずに、「家賃保証」などの魅力的な謳い文句だけを聞かされて契約してしまう場合が多く見受けられます。

一度、サブリース契約を締結すると、その解約は極めて困難になります。

しかし、サブリース契約がオーナー様の不利益になっている場合も多々ありますので、一度専門家にご相談いただくのが良いと思います。

ぜひ一度、弊社のYouTubeセミナーをご覧ください。

セミナー動画

弁護士山口真彦 山口真彦

弁護士

ウィンベル法律事務所/ウィンベル合同会社代表。

大学卒業後、中小企業で営業マンとして勤務したのち弁護士へ。

弁護士登録後は、自身が中小企業で勤務していた経験をもとに、企業に関わるすべての人を幸せにするために弁護士にできることをテーマに日々活動している。

交渉学に基づいた交渉術を駆使し、早期円満解決がモットー。

PROFILE