交渉の4つの原則とは その3 「選択肢」
前回は前回のコラムでは「原則立脚型交渉」の4つの原則のうち、2つ目の「利益」について解説しました。
本日は、原則立脚型交渉が立脚する4つの原則のうち、3つ目の「選択肢」についてお話したいと思います。
まずは、次のような事例を想像してみてください。
事例で考えてみましょう
あなたは、ある会社の営業担当です。上司から今日中にX社との契約をまとめてこいと言われました。
その際、上司から以下のような交渉の条件を提示されたとします。
- 契約の金額は100万円以下には絶対にしない。その他の条件も一切譲歩してはいけない。
- 契約の金額もその他の条件面も、両者にとって利益になるのであれば、現場判断で決めてきてよい。
さて、どちらの条件でX社と交渉に臨む方が、あなたは余裕が持てますか?
当然ですが、2ですよね?それはなぜでしょうか?
それは、1には選択肢がないからです。
一方で、2は選択肢がいくらでもあります。金額を下げることもできるし、条件を変更することもできます。
つまり、合意のための選択肢が複数あることによって余裕をもって交渉に臨むことができます。
また、選択肢を複数生み出そうとする意識自体が交渉中に視野を狭めることを防止してくれます。
選択肢を考える際の注意点
ここで選択肢を考える場合の注意点として、選択肢はあくまでも「お互いの利益を考慮した」選択肢であることです。
2つ目の原則で「利益」がありましたが、自分と相手方の双方の利益に着目して、選択肢を考えることが優れた合意を導くことになります。
「けど・・・選択肢が思いつかないんだけど・・・」
という方もいらっしゃると思います。そのような場合、以下の視点が抜けている可能性があります。それが・・・
- ①アイデアの切り捨て
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考え出した選択肢を「どうせこんな選択肢は相手から拒否されるだろう」と思って、自分で切り捨ててしまうことです。
選択肢を受け入れるか否かは相手の判断です。自分で判断してしまわないようにしましょう。
- ②たった一つの答えを求める
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交渉において、その答えとそこに至る過程が一つしかないと思い込んでしまい、交渉が息詰まることです。
「利益」がわかれば、いくらでも答えとそこに至る方法はあります。
- ③パイの大きさは固定されているとの思い込み
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固定されたパイをどう分けるかという思考に陥っていることです。
パイを広げるという視点を持ちましょう。
- ④相手の問題は相手が解決すべきという姿勢
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交渉の相手は、両者の間にある問題を一緒に解決する仲間です。
相手の問題や課題も協力して解決する姿勢を持ちましょう。
以上です。
選択肢が思いつかない場合には、この思考に自分が陥っていないか確認しましょう。
その他、選択肢を創造する方法・ツールもありますので、それについては、後日お伝えしたいと思います。
今回は、選択肢を複数持つことが交渉においては重要であるということを理解していただければと思います。
ではまた次回。