後遺障害について(後遺障害申請の流れを知ろう その1)

はじめに
ウィンベル合同会社です。
前回の記事では後遺障害の概要と後遺障害慰謝料についてご紹介しました。
その中で「後遺障害等級の認定を受けるには、自賠責保険会社に対して後遺障害認定手続きの申請を行います。」と記載していました。
今回は、後遺障害申請の流れのうち、手続き方法と後遺障害診断書の確認についてご紹介したいと思います!
なお、後遺障害の申請〜認定結果が出るまでのざっくりとした流れは以下のとおりです

手続き方法
請求先
相手の自賠責保険会社になります(傷害部分の被害者請求と同様)。
交通事故証明書に保険会社名が記載されているので、確認しましょう!
必要書類
1〜10は、傷害部分の被害者請求時の必要書類と共通するものです。(※共通書類に関するポイントは、こちらの記事からご確認ください!)
- 送付書
- 支払請求書兼支払指図書
- 請求者(=弁護士)印鑑証明書(原本)
- 交通事故証明書(写し)
- 事故発生状況説明書(事故発生状況報告書)(原本)
- 診断書・診療報酬明細書(写し)
- 施術証明書・施術費明細書(写し)※整骨院の受診がある場合
- 調剤報酬明細書・請求書(写し)
- 委任状・委任者(依頼者)の印鑑証明書(原本)
- 物損資料 ※添付する場合
- 後遺障害診断書(原本)
- その他
なお、傷害部分の被害者請求では、診断書・診療報酬明細書等(=治療費関係の書類)は原本を添付していましたが、後遺障害申請のみ行う場合、写しの添付で問題ありません。
一括対応されている案件であれば、基本的に相手方の保険会社から写しを取り寄せることが出来るので、こちらで病院に取り付ける必要はありません。
概要

必要書類
正式名称は「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」です。
その事故で被害者が負った怪我について、残存した後遺障害に関する症状や検査結果等が詳細に記載される書類になります。
後遺障害等級に該当するか判断する際、後遺障害診断書や医療機関で撮影された画像記録を見て調査が行われるので、非常に重要な書類となります。
作成者
主治医が作成します。症状固定時に被害者自身が主治医に書式を渡して作成依頼をします。
後遺障害診断書の作成費用については、被害者に立て替えてもらい、賠償請求のタイミングで相手方へ請求をします。
そのため、後遺障害診断書の原本を送ってもらうタイミングで作成費用の領収書原本も一緒に取付けしましょう。
受け取り後
後遺障害診断書の作成完了後、病院から被害者に連絡が入るので、受け取りに行っていただきます。
そして、概要でも述べたように、後遺障害診断書は重要な書類です。
そのため、記載内容をしっかりと確認する必要があります。
記載内容によっては、内容を修正してもらう可能性もありますので、受け取り後は、事前にFAXやメール等で共有してもらいましょう。
後遺障害診断書の作成依頼のポイント
次の記載事項に注意をして依頼しましょう。
1.症状固定日の記載

※症状固定日が空欄だと、申請しても調査していただけません。
2.自覚症状欄の内容

不足等がないか確認しましょう。
また、常時症状が残存しているにもかかわらず限定的な記載になっていると、正しい認定がなされないこともあります。(※例:「PC作業中に痛みが出現する」のみ記載されている→PC作業中のみ痛みが出る(=常時痛みがあるわけではない)と判断される可能性もあります。)
必ず修正していただけるとは限りませんので、作成依頼の際にどのように記載してほしいのか、被害者から主治医へ正しく伝えてもらうことが大切です。
受取り後に事務が確認するとよい部分
FAX・メールで受け取った後遺障害診断書を確認する中で気になる点があれば、弁護士に報告しましょう。
上記1・2に加え、こちらについても確認してみてください。
1.傷病名

- 記載内容に誤りや不足がないか
- 今回の事故とは関係のない傷病名の記載がないか
※例えば、同時期に別の怪我で同じ病院に通院・治療していた場合、別の怪我に関する傷病名が記載されていることがあります。経過の診断書を見て確認するようにしましょう。
2.関節機能障害の検査結果

関節の可動域制限がある場合、可動域に関する検査結果の数値が赤枠内に記載されています。
該当部位について記載されているか確認しましょう。
3.障害内容の増悪・緩解の見通し記入欄

ここには「症状の改善の見込みなし」「症状固定とする」等の記載がなされていることが多いです。
例えば「症状固定ではない」等の記載があると指摘が入ってしまいます。
記載内容について確認するようにしましょう。
おわりに
今回は、後遺障害申請の流れを後遺障害診断書の作成に関する部分までご紹介しました。
申請後の流れについては次回お伝えします!
どうぞ、お楽しみに!