一括対応と自費通院の違い
前回の記事( 交通事故案件の治療費確認について)では交通事故案件の治療費確認についてご紹介いたしました。
前回の記事を読んでいただいた方より、 一括対応と自費通院の違いについてご質問をいただいたので、今回のテーマとしてご紹介したいと思います!
一括対応
前回記事でも記載させていただきましたが、一括対応とは、任意保険会社が窓口となり、被害者の治療費を医療機関に支払うこと、自賠責保険と任意保険の賠償額を一括して被害者に支払うことです。
依頼者は、 病院の窓口で精算する必要がなく相手方保険会社が直接支払うので、毎回スムーズに通院することが出来ます。
事務手続きとしても、医療機関から相手方保険会社に届く書類(診断書・診療報酬明細書等)を定期的に共有依頼すればよいので、事務として何か難しい手続きをする必要も特にありません。
自費通院
事故に遭い負傷してしまった場合でも、相手方保険会社が一括対応を拒否することもあります。
主な理由として、以下のようなパターンが考えられます。
- パターン1相手方保険会社(又は加害者本人)が受傷自体を否認する場合
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事故が極めて軽微な場合、 本件事故で受傷することはないと主張され、治療費の対応を拒否してくることがあります。
なお、相手方保険会社が拒否する時もあれば、加害者本人がそのように判断して保険を使用させないということもあります。
極めて軽微な事故と主張されやすい一例
- ・車本体の修理費が低額(数万円など)
- ・ミラー同士の接触
- ・逆突事故
- ・クリープ現象等の低速での追突
- ・ドアを被害車両にぶつけた
- パターン2一括対応期間が終了した場合
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最初は相手方保険会社が一括対応をしていても、 そろそろ治療終了してほしいと連絡が入ることがあります。
弁護士が介入している場合は、改善見込みがあること等を主張し、 治療期間延長の交渉をすることもありますが、必ずしも延長できる訳ではありません。
一括対応期間が終了後も通院を続けること自体は可能ですが、その場合は自費通院となります。
- パターン3加害者が見つかっていない場合
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当て逃げ・ひき逃げ等で 加害者が見つかっていない場合は、相手方保険会社も分からないため、自費通院となります(人身傷害保険等を使用して治療する場合もあります)。
後日、加害者が見つかると、相手方保険会社に一括対応してもらえることもあります。
ちなみに、その間に支払っていた自費通院の治療費等は請求することができるので、該当期間の領収書や診療報酬明細書等は 原本を保管しておくことが大切です。そのようなパターンの案件を受任した場合、 立替費用の有無を確認し、立替え費用がある場合は、領収書等の原本を送ってもらいましょう!
時間の経過とともに、紛失してしまう可能性も高くなると思いますし、 領収書の再発行不可という医療機関もありますので、早 めの依頼がポイントです。
さいごに
今回は、一括対応と自費通院の違い等についてご紹介いたしました。
一括対応されている場合、資料等を相手方保険会社から取り付けて、賠償請求額を整理すればよいのですが、自費通院の場合は 診断書・診療報酬明細書等の資料はこちらで取り付けを行う必要があります。
次回以降、自費通院の場合の事務手続き等についてもご紹介していきたいと思います!
どうぞ、お楽しみに!!